雨音と現実感の話
夜の雨音というのは、風情があっていい。
そして、隣で眠るこの人が、恋人であるという事の現実感の無さよ
男の人って皆似た所があるから、ふとした瞬間に今隣に居るのが誰なのか分からなくなりそうな、妙な錯覚に陥ることがある。
今こうして、横になって暮らしているこの住処は、私の本当の住所ではなくて。
つくづく、奇妙な暮らしをしていると思う
いつも腕枕をしてもらっているので、そうなると必然的に彼の頭より下に私が居る状態になるから、顔を上げない限り恋人の顔は見れない。
無論、たまに上げては見るようにしているのだけど
首から下しか見えないと、たまに不安になる。
隣に居るのは恋人なのだろうかと、
本当に、この人なのだろうかと
白い部屋着に緩い短パン、体つきと脚の毛
たまに、自宅のあの人の既視感に、焦燥感を抱く時がある。
違う、この人は恋人だ。
あの人じゃない
匂いと静かな寝息で安心する。
雨の音に耳を澄ませて、心を落ち着かせる。
左腕に手首まで入った墨を見て、心の底から安心するのだ。
だから私も、早く入れたいと思う。
もう、元の生活に戻る気はないという、誓いのようなもので。
全部俺のもの、って縛ってくれるくらいが良い。
束縛嫌いの本当の理由は、そうしないと自我が保てないから。
今まで染まっても結局捨てられたり別れたりして、何だよあの言葉は全部嘘だったんじゃんってなるのがもう嫌だったから。
恋人は、もう一度だけ信じさせてくれるような、そんな気がするから、
もう一度だけ、盲目的に依存することを自分の中で許してみようかなと思う。
本当はね、
殴って首を絞めて蹴って犯し尽くされて、強制的に中に出して逆らえなくさせて欲しいの
そこまでされないと愛されてる実感が湧かない。
縛って縛って、独占欲が見られるような
自分だけの物だって叩き込まれて刻み込まれるような
そんな感じがいいんです。
体中痕だらけになるような
そうじゃないと、怖いんです。
恋人の眼を彫りたいのも、自分自身で洗脳を掛けたいから。
この腕には恋人が居ると思いたくて、いつも見られてると思いたくて、ずっと一緒だと思いたい。
乱暴に扱われるくらいが丁度いい。
でも言葉で傷付けられるのは得意じゃない。
俺だけのものだ、って言って欲しい。
愛されてるけど愛されたいです。
もっともっと奥の深い所まで、私の見せない所まで、手を突っ込んでぐっちゃぐちゃにして欲しい。
恋人無しじゃ生きられないそんな人間にしてください